優しい犯罪




「おじさんは?…やっぱり牢屋に入りますか?」


「うん。悪いことをしたのは変わらへんから。どんくらい牢屋に入るか決まるまで入るところがあって、そこに行ったわ」




両親の取り調べは始まっているらしく、階を跨いでまた誰も居ない廊下を二人で歩く。


幽霊が出そうで、夜に一人で歩けないなと考えていると、〝ここは幽霊が出るって噂があるから、なるべく一人で歩かんようにしてるんよ〟と、肩を縮めて話す警察官に、苦笑いを返した。



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