優しい犯罪





「おじさん!」




まだ遠い距離に待ちきれなくて、叫んで名前を呼んでしまった。


足を止めると声のする方を見て、目を大きく開けている。



駆け足でフェンス扉まで駆け寄ると、もう一度名前を呼んだ。




「おじさん。おかえりなさい」




扉を開けて、出迎える。


戸惑いながら外へ出るも、まだ何も言わない。


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