優しい犯罪




「…蓮斗さん。迎えにきたよ」


「優衣……。綺麗になったな」




絞り出して聞こえた声は懐かしく、愛おしい。


そして予想外の言葉に、ドキッとした。




私の頭に向かいかけた手は引っ込められて、また無言に。


もう、もどかしい。



私からおじさんに抱きついて、背中に手を回した。


前は脇腹にしか手が届かなかったのに、ちゃんと背中に手が回る。


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