優しい犯罪




「家に帰るか」


「うん。帰りましょう」




カバンを持つ手と反対の手は、私の手を。





「待つのは長かった」


「俺も二年あそこで過ごすのは、草臥(くたび)れた。優衣の姿が見えた時、生きてる心地がしたよ」





二人で歩く道は何でもない道だけど、二人で歩くだけでその道は特別に変わった。




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