優しい犯罪




温かいお茶はあまり飲んだことがなくて、なかなか飲み進められないのに、おじさんはごくごくと喉を通っていく。



髪の毛をあちこちはねさせて目も開いていないおじさんは、飲み終えると私が飲み終わるまで待っていてくれた。






「おじさん、飲むの早いですね。私そんなに早く飲めない」


「喉乾いてたから。ゆっくり飲んだら良いよ」


「…ごちそうさまでした」


「よし。まだ寝る?」


「眠たくないです」



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