優しい犯罪




マグカップを返すとキッチンの流しに置いて、私にびっくりな提案をしてきた。




「じゃあ、散歩しようか」


「え!?」




素直に頷けず、固まってしまった。


散歩なんてそんな穏やかな家庭ではなかったし、外に出ることを許されなかったから、初体験の嬉しさより恐怖心が強い。


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