【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。
「こんな人だとは、思わなかったわ」

 王妃殿下が蔑みを含んだような目で、私のことを見下ろす。

 恐怖からか身体が震えて、唇もわなわなと震える。

 彼女の顔を見つめることも出来なくて、俯いた。

「……わ、たしは」

 それでも、反論しなくちゃ。

 私はゲオルグさまとは関係ないのだと。

 そう思うのに、喉が震えて声が出ない。ぎゅっと手のひらを握って、溢れそうになる涙をこらえる。

「あなたには、もう王城を出て行ってもらいます。今後、ラインヴァルトにも近づかないで頂戴」

 まるで吐き捨てるようにそう告げる王妃殿下。

 そのまま彼女が私に背中を向けようとされるので、私は「待ってください!」と咄嗟に呼び止めた。

「私、違います。ゲオルグさまと、関係があるわけじゃないのです。……私が、好きなのは」

 そこまで口にして、言葉に迷う。

 ラインヴァルトさまご本人に気持ちを伝えていない。それなのに、先に王妃殿下に伝えてもいいものだろうか?

 一瞬の迷い。

 それに気を悪くされたのか、王妃殿下は私のほうに身体を向けられた。

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