【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。
「勝手にお部屋から出ることは、禁止させていただきます。では、行きましょうか」

 彼女が歩き出す。ぼうっとその後ろ姿を見つめていれば、彼女が振り返った。

「ぼさっと立たないでください。……全く、手のかかる小娘ですね」

 明らかにバカにしたような。蔑んだような言葉だった。

 悔しさを覚える。けど、逆らうことも出来なくて。私は、慌てて彼女の後を追う。

 俯いて、床を見つめ続ける。

 どうしてこうなったのか。何処で間違えたのか。

 頭の中でぐるぐると後悔だけが回っていく。

(そう、いえば)

 そんなとき、ふとコルネリアさまのお言葉を思い出す。

 『王妃殿下には、気をつけて』

 その言葉の意味は、一体……?

(もしかして、これを仕組んだのは――王妃、殿下なのでは?)

 彼女はとにかく私の心を揺さぶっていた。

 それはまさしく。――ラインヴァルトさまから、離れるように誘導しようとなさっていたのではないのだろうか?
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