【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。
(……これじゃあ、本当に罪人じゃない)

 室内を見つめる。少し前までと、同じ状態。

 つまり、ここは豪華絢爛な牢なのだろう。私は、ここから出ることが許されない。

「世話役を取り上げるということは、ミーナとも会えないっていうことね……」

 この豪華絢爛な牢で、私はたった一人、追い出されるのを待つのだろう。

 ……前までの私だったら、もうあきらめていた。なんの感情も抱かずに、流されるままだっただろう。

 でも、今の私は諦めたくないって思う。

「だって、全部ラインヴァルトさまが教えてくださったのだもの……」

 彼は愛を与えてくださった。愛することを教えてくださった。

 私はそんな彼の側にいたい。まだ、諦めたくない。

(扉のほうには、鍵がかかっている。監視もいるみたいだし……)

 そう思って、窓のほうに近づく。

 窓にはいつの間にか格子がはめられており、窓からも逃げることが出来そうにない。

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