【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。
(……どう、すれば)

 とにかく、考えなくちゃ。考えて、考えて、逃げ道を探さなくちゃ。

 王妃殿下にあぁ命令されたからといって、易々と引き下がるわけにはいかない。

 だって、私は無実なのだもの。一度、しっかりとラインヴァルトさまとお話をしなくちゃ……!

 彼ならば、私の不貞が真っ赤な嘘、でたらめだって、信じてくださる。

 そのためには、ここから出て、彼に会って――。

「諦めたく、ないの」

 窓を開けて、格子を握りしめる。握った格子は、とにかく冷たい。長くは、握っていたくないものだった。

「ラインヴァルトさま。……私、諦めたくない。あなたに、好きだって伝えていないもの」

 黒幕が王妃殿下であろうと、ゲオルグさまであろうと。

 今の私には、それよりも重要なことがある。

「どうか。……どうか、私の気持ちを伝えさせてください」

 ぎゅっと目を瞑って、必死にそう願う。

 願っただけじゃ、なにも変わらないかもしれない。それでもいい。あきらめるよりは――ずっと、いいから。
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