【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。
 そう思っても、私のような小娘が出来る抵抗なんて、知れていて。

 あの日から、あっという間に二日が経つ。食事はミーナではない別の侍女が運んできた。その侍女にミーナのことを聞くものの、教えてはくれない。……責められていなければ、いいのだけれど。

(……王妃殿下の怒りが、私だけで済めばいいのだけれど……)

 万が一、ミーナにまで向かってしまったら……と思うと、気が気じゃない。

 そして、そんなことを考えるとどうしても食欲が失せてしまった。目の前にある夕食も、手つかずのまま。

「あと、三日」

 その三日で、なにが出来るというのだろうか。

 それに、このままだとラインヴァルトさまに挨拶することさえ、許されそうにない。

 王妃殿下のことだ。ラインヴァルトさまに、私に会うなと命じられているだろうから。

(……会いたい、な)

 ふと、そう思ってしまった。

 私の軽率な行動がこの状態を生み出している。理解している。けど、やっぱり。

 私はラインヴァルトさまに会いたい。彼と直接お話がしたい。

「なんとか、出来ないかしら……?」

 視線を落として、夕食のスープを見つめた。これは、コーンスープなのよね。色合いが、トウモロコシそのものだもの。

 そう思っていれば、ふと窓のほうからからんという音が聞こえてきた。

 ……慌てて、そちらに視線を向ける。カーテンが閉められている所為で、外は見えない。

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