【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。
 書き物用の机の前に座って、私は小さく折りたたまれた手紙を開いていく。

 封を開ければ、中には二枚の便箋。一枚はミーナの言っていた返信用のものだと思う。真っ白だ。

 そして、もう一枚の便箋を開いた。

「……ラインヴァルトさま」

 そこには、ラインヴァルトさまの字で文章が綴られていた。

 今は、お仕事が忙しくて時間がなかなか取れないということ。そこには王妃殿下の策略が妨害があるのだろうということ。

 ラインヴァルトさまは、私の不貞を嘘っぱちだと信じていると。

 ラインヴァルトさまのほうで、隙間時間を使っていろいろと調べていると。

 そんなことが、便箋いっぱいに綴られている。小さな小さな文字を追っていると、自然とぎゅっと唇を結んでしまった。

(……真実を、聞かせてほしい、か)

 最後には、そんな言葉が綴られていた。

 真実。それは、信じていないから聞きたいわけじゃない。ただ、実際のことを知りたいということなのだろう。

(とりあえず、ゲオルグさまに付きまとわれていたこととか、書いたほうがいいのよね……)

 私はペンを取って、入っていた便箋に文字を綴っていく。

 ここ最近ゲオルグさまに付きまとわれていたこと。そこを王妃殿下の侍女に目撃され、伝えられたということ。それを悪い意味で受け取ったのであろう王妃殿下が、私に出て行くようにとおっしゃったこと。

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