【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。
「ダメよ、弱気になってはダメ。私は、今までのように諦めることはしたくないの」

 今までなにもかもをあきらめて、手放してきた。私はそれを当然だと思っていたし、仕方のないことだと思っていた。

 ……だけど、今は違う。

 私は貪欲に生きたい。ラインヴァルトさまのお隣で、生きていきたい。

「……頑張らなくちゃ」

 頬を軽く叩いて、気合を入れる。

 その後、私はもう一度目の前の紙に向き合った。

「と、いうか。……どうして、王妃殿下は。私のことを……」

 普通に考えれば、ラインヴァルトさまの近くにいることが許せないのだと思う。

 ……彼の王太子としての立場を確たるものにするためには、身分の高い令嬢が妻になることが望ましい。

 それはわかる。ラインヴァルトさまも、王太子という身分を確たるものにしたほうが、幸せだと思うし……。

(……本当に、そう?)

 彼女は、本当にラインヴァルトさまの幸せを望んでいらっしゃるのだろうか?

 だって、そうじゃない。王妃殿下がラインヴァルトさまの幸せを望んでいるのならば。

 ……彼の意見を、少しでも取り入れようとされるのでは、ないだろうか?
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