【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。
「だって、それが親……じゃ、ないの?」

 少なくとも、私の親は違うけれど……。

 私の親は、私に利用価値しか見出していなかった。

 ……そんな私の親と同じだったとすれば。

「お優しい、女性だと評判なのに」

 なのに、心の中ではラインヴァルトさまを道具として見られているのではないか。

 そう思ったら、胸の中にふつふつとした怒りが湧き上がってくる。

「ラインヴァルトさまは、とても素敵な、素晴らしいお方よ」

 もしも、私の考えが間違っているのならば。私は、大人しく身を引く。

 でも、当たっているのならば。……彼女にはラインヴァルトさまと向き合ってほしいと思う。

 ……恩着せがましい、かも、だけれど。
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