【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。
「勘違いもなにも、あなたは元婚約者とつながっていた。それがすべてでしょう」

 やはり、彼女は私の言い分など聞くつもりはないようだった。わかる。そりゃそうだ。

 ――だって、これは彼女が望んだことなのだから。

「王妃殿下は、コルネリアさまがお好きだったのですね」
「……は」

 突拍子もない私の言葉に、王妃殿下が目を瞬かせられる。

 ……彼女はコルネリアさまが好きだ。その後ろにある『権力』が好きだ。

「確かに、私はコルネリアさまに比べれば、家柄は劣ります。婚約を破棄されたという瑕疵もあります」

 それは嫌というほどにわかっている。ただ、それくらいであきらめるのは嫌だ。今までの私ならば、簡単にあきらめていた。

 これが私の運命なんだって。

 けど、ラインヴァルトさまとかかわって、愛を伝えられているうちに。私はあきらめないということを覚えた。

 ……それもこれも、すべて彼のおかげだ。

 だから、私も少しでも彼の力になりたい。……彼に恩を返せるようになりたい。

「ただ、私がラインヴァルトさまを慕っている。そのことだけは、間違いないのです」

 声は震えていなかっただろうか。ほんの少しの不安を抱きつつも、私は彼女を見つめる。……納得してくれる、なんて思っちゃいない。

 ただ、少しでも。彼女の心に響いたら――と思っていたのに。やっぱり、無駄だった。
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