【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。
「だったら、王妃殿下にとってラインヴァルトさまはどういう存在なのですか……?」

 怖かった。聞いちゃいけないって思っている。ただ、はっきりとさせておかなくちゃって思って。

 私は震える声でそう問いかけた。王妃殿下は、私の言葉を聞いて一瞬だけ目を見開く。が、すぐに鼻で笑い飛ばされた。

「どういう存在って……。息子でしょうに」

 さも当然のように彼女はそう答えられた。……おかしな言葉ではない。でも、お話の節々からはなんというか。

 ――私の親と、同じような馬鹿にした声音が感じられた。

「ラインヴァルトさまは、王妃殿下にとって……」
「あぁ、でも、最近は反抗期なのかしら。わたくしのいうことをちっとも聞かないのよ」

 私の言葉を遮って、王妃殿下がそうぼやかれた。

「わたくしのいうことを聞いていれば、すべてうまくいくというのに。あの子には次期国王という輝かしい未来が。そして、わたくしは次期国王の母という絶対的な権力を手に入れることができるのに」

 まるでラインヴァルトさまが悪い。

 彼女はそうおっしゃっているみたいだった。

 それから、彼女の言葉の本心は後者のほうだろうと。
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