【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。
「……ラインヴァルト、わたくしは入室の許可を出した覚えはありませんよ」

 いち早く現実に戻ってこられたのか、王妃殿下が鋭い声でそうおっしゃる。

 でも、ラインヴァルトさまは気にされている素振りもない。ただじっと王妃殿下を見つめられている。

「母上のことだ。俺をこの場に入室させるとは思えない」

 それはまぁ、正しいのだろう。

 だって、王妃殿下には私との会話なんて聞かれたくないはずだ。……特に、ラインヴァルトさまには。

「だから、強行突破させてもらった。……さて、母上にお伝えしたいことがありまして」

 ラインヴァルトさまが一歩前に踏み出されて。王妃殿下と向き合う。

 かと思えば、振り返って扉のほうに視線を向けられた。そこには、二人の騎士に挟まれたゲオルグさまが……いて。

「この者に金品を渡したというのは、本当のことですか?」

 視線を王妃殿下に戻されたラインヴァルトさまが、怒りを孕んだお声でそう問いかけられた。

 意味がわからなくて、私はきょとんとする。

「……どういうこと、かしら?」
「俺の言葉通りの意味ですよ。この者に金品を渡し、テレジアに言い寄るようにと指示をした……違います?」

 彼のお言葉は問いかけなんかじゃない。確証を持っていて、そのうえで認めさせようとしている。

 そういう雰囲気というか、オーラを感じる。
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