【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。
「はっ、どうしてこのわたくしがそんなことをせねばならないのですか」
「テレジアの不貞をでっちあげて、この王城から追い出す算段だったのでしょうね」
ラインヴァルトさまが指示を出されると、二人の騎士はゲオルグさまの背中を押す。彼は床に転んで鋭い視線でにらみつけていた。
私でもラインヴァルトさまでもなく。――王妃殿下を。
「――あなたさまは言うとおりにすれば母に掛け合ってくれる。そう、言いましたよね?」
強く強く。怒りと憎しみ、殺意を帯びたような目で、ゲオルグさまが王妃殿下を睨みつけられる。
……王妃殿下の視線が、一瞬だけ彷徨った。
「母上。あなたはこの男を利用した。生活費と住む場所を提供して、思うがままに操っていた」
「……どういう、ことですか?」
私一人、なにも分からなかった。
きょとんとしつつラインヴァルトさまを見上げれば、彼は私に口パクで「大丈夫」と伝えてくださる。
「この男は、母親から絶縁を宣言された。……なにも持たずに、身体一つで公爵家を追い出されている」
「……え」
確かに、ゲオルグさまのお母さま……公爵夫人は世間体をすごく気にされるお方だった。
ただ、まさかそこまでされるなんて想像もしていなくて。……あぁ、でも、よくよく考えればそうか。
(彼のお父さま、公爵さまは夫人に頭が上がらないものね……)
だったら、夫人の一存で追い出されても仕方がないのかもしれない。
「そこを母上……いや、王妃は利用した。公爵家に戻るまでの生活面での世話と、公爵夫人に掛け合うというのを条件にして、テレジアに言い寄るようにと命令したんだ」
……ゲオルグさまを見つめた。
彼は私なんて気にも留めていない。ただただ、王妃殿下を睨みつけている。
「なんだ、この結末は! どうしてこの俺がこんな目に遭っているんだ!」
ゲオルグさまは立ち上がり、王妃殿下に詰め寄っていた。
王妃殿下は、なにもおっしゃらない。
「テレジアの不貞をでっちあげて、この王城から追い出す算段だったのでしょうね」
ラインヴァルトさまが指示を出されると、二人の騎士はゲオルグさまの背中を押す。彼は床に転んで鋭い視線でにらみつけていた。
私でもラインヴァルトさまでもなく。――王妃殿下を。
「――あなたさまは言うとおりにすれば母に掛け合ってくれる。そう、言いましたよね?」
強く強く。怒りと憎しみ、殺意を帯びたような目で、ゲオルグさまが王妃殿下を睨みつけられる。
……王妃殿下の視線が、一瞬だけ彷徨った。
「母上。あなたはこの男を利用した。生活費と住む場所を提供して、思うがままに操っていた」
「……どういう、ことですか?」
私一人、なにも分からなかった。
きょとんとしつつラインヴァルトさまを見上げれば、彼は私に口パクで「大丈夫」と伝えてくださる。
「この男は、母親から絶縁を宣言された。……なにも持たずに、身体一つで公爵家を追い出されている」
「……え」
確かに、ゲオルグさまのお母さま……公爵夫人は世間体をすごく気にされるお方だった。
ただ、まさかそこまでされるなんて想像もしていなくて。……あぁ、でも、よくよく考えればそうか。
(彼のお父さま、公爵さまは夫人に頭が上がらないものね……)
だったら、夫人の一存で追い出されても仕方がないのかもしれない。
「そこを母上……いや、王妃は利用した。公爵家に戻るまでの生活面での世話と、公爵夫人に掛け合うというのを条件にして、テレジアに言い寄るようにと命令したんだ」
……ゲオルグさまを見つめた。
彼は私なんて気にも留めていない。ただただ、王妃殿下を睨みつけている。
「なんだ、この結末は! どうしてこの俺がこんな目に遭っているんだ!」
ゲオルグさまは立ち上がり、王妃殿下に詰め寄っていた。
王妃殿下は、なにもおっしゃらない。