【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。
「母はあなたさまと仲がいい。そんなあなたさまのお言葉ならば、母だって考えを改めると――」

 けど、ゲオルグさまのお言葉は最後まで続かない。王妃殿下が、彼を突き飛ばしたからだった。

「……被害者ぶって、なんのつもり?」

 彼女はそう零された。

「それに、わたくしのことを巻き込むなんて、なんてしつけがなっていないのかしら。そんなもの知らないわ。あぁ、恐ろしい」

 一種の恐怖を感じるほどに、白々しい態度だと思ってしまう。

「あぁ、きっとその女にわたくしを嵌めるようにとお願いされたんだわ。気弱なふりをして、あくどいことをするのね」

 まるでさも自分が被害者のように王妃殿下がそう嘆かれた。

「――わたくしはあなたに精一杯尽くしたというのに。恩をあだで返された気分だわ!」
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