【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。
「あの、一つ、よろしいでしょうか?」
「……あぁ」
「その、いつから、私のことが好きだったのですか……?」

 ずっと気になっていた。聞かなくちゃって思っていた。

 勇気を振り絞ってそう問いかけると、彼が声を上げて笑われた。驚いて、目を見開く。

「――知りたいか?」

 彼が妖しく笑って、そう問いかけてこられる。

 ……なんだか、聞いてはいけないような気もする。でも、聞きたい。

 その気持ちがあるからこそ、私は頷いた。

「そっか。そうだなぁ。初めて見たとき、もう俺の心は奪われていたよ」
「は、じめて……」
「そう。テレジアのデビュタントのときだな」

 ……想像以上に、早いときだった。

「あのときのテレジアは可愛かった。何処か緊張した面持ちをしていて、それなのに必死に完璧に振る舞っていた。……あぁ、この子の不安を取り除いてあげたいなって、思ったんだ」
「そ、んなの」
「信じられない?」

 問いかけにこくんと首を縦に振る。彼が少しショックを受けたような表情をされて、私の良心がずきずきと痛む。

「じゃあ、俺がずっとテレジアを見ていたのも、信じられない?」
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