【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。
「……テレジアって、本当に可愛い」

 彼がまるでかみしめるみたいに、そう呟かれる。

 照れくさくて、視線は下げた。彼がどういう表情をしているかは、わからない。

 ただ、多分だけど。彼は悪い表情をしているんじゃないだろうかなぁって。

「テレジアが可愛いし、今日はこのまま執務は終わろうかな」
「……なんですか、それ」

 どういう意味なのかわからない。

 そう思って顔を上げれば、彼が身を乗り出してきて――私の唇に口づけを落とす。

 テーブルの上の陶器のぶつかる音がして、止めなきゃって思うのに。

(……気持ちいい)

 そんな風に思ってしまうから、拒否できない。

 ゆっくりと離れていく彼の唇。目で追えば、彼が笑っていた。
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