【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。
「ら、ラインヴァルトさまが、私にいっぱい教えてくださるから……」

 愛されるということも、愛するということも。恋をするということも。

 全部全部彼が教えてくれた。そして、その所為で私がこういう思考回路になってしまっているのだと、理解してほしい。

「だから、全部ラインヴァルトさまの所為、です……」

 けど、さすがに八つ当たりが過ぎるかなって思って、最後のほうの言葉は小さくなってしまった。

 ラインヴァルトさまは、なにもおっしゃらない。

(さすがに、言い過ぎた、かしら……?)

 指の隙間から彼を見つめると、彼が何処か嬉しそうな表情をしているのがわかった。

「そう、俺の所為。……今後も、俺がテレジアにいっぱい教える」
「ら、ラインヴァルト、さま?」
「むしろ、俺以外からは教えられるな。……俺は嫉妬深いんだぞ」

 さも当然のようにそうおっしゃった彼は立ち上がって――私の側に移動される。かと思えば、あっという間に横抱きにされた。

「というわけで、今日はもっとたくさん、いろいろ教えてやる」
「あのっ!」
「俺がどれだけテレジアが好きか。……言葉にするし、行動にも示す。……だから、俺だけ見てろよ」

 ……そんなこと、わざわざ言われなくてもいい。
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