【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。
 だって、今の私の目には彼しか映っていないのだから。

 そう思いつつ、私は部屋にある書き物用の机の上に載っている、両親からの手紙を思い出す。

 帰ったら、破り捨ててしまおう。これが、最後の過去との決別だから。

「ラインヴァルトさまも、浮気しないでください」
「……あぁ」

 聞こえるか聞こえないか。そんなレベルの声量で呟いた声は、彼にしっかりと届いていたらしい。

 彼が力強く頷いていた。

 愛されることも、愛することも知らなかった私は――今日も執着心の強すぎる王太子殿下に、愛されています。

 ここから先は――私たちだけの、秘密。

【END】
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