【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。
 彼はさも当然のようにそうおっしゃって、ウィンクを飛ばしてこられる。

 その姿が眩しくて、かっこよくて。……私は、ラインヴァルトさまから視線を逸らす。

「テレジア?」
「み、ない、で、くださいっ!」

 ラインヴァルトさまが私の顔を覗き込もうとされたので、慌てて自らの顔を手で覆う。

 だって、今の私は絶対に真っ赤だ。そんな顔……彼に見られたくない。

「照れてる? ……可愛い」

 でも、彼はさも当然のようにそうおっしゃって、私の頬にちゅっと口づけてくる。

「ひゃっ」

 驚いて身を引こうとする。なのに、ラインヴァルトさまは私の身体を引き寄せて、逃げられないようにしてこられる。

 背中に回された腕が、まるで私のことを「逃がさない」と伝えているかのようだった。

「本当、テレジアは可愛いよ」

 そして、彼は流れるように私にそう囁きかけてこられて、私の頬にもう一度口づけを落とされた。

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