イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない


 でも、少し気を抜くとすぐにまた依茉のことを探してしまう自分がいるから。


 依茉のことをできるだけ考えないで済むように、俺は自分に告白してくる女子は全員受け入れ、誰彼構わず付き合うようになった。


 最低だなって、自分でも分かっていたけれど。


 告白してきた女を振っていた頃よりも、“ 交際は1ヶ月限定 ” という条件付きで付き合ったほうがむしろ喜ばれた。


 女にはだらしないけど、親の機嫌を損ねないよう勉強だけはサボらず努力し、俺は首席で中等部を卒業。


 両親は大層喜び、そのまま花城学園高等部に入学。


 高校生になって初めての中間テストでは、成績学年首位となった。


 だが、それからしばらくして梅雨入りする頃に俺はふと思った。


 このまま、親の敷いたレールの上をただ歩くだけで良いのかと。


 親から花城学園に行くように言われて入学し、好きだったバスケも辞めて。


 そして、付き合っていた初恋の彼女とも別れさせられて……。


 全て親の言いなりで、俺はまるで感情のないロボットみたいだなと。


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