イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない
『自分の好きな女の子が彼氏に何股もかけられて遊ばれてるって思うと、どうも許せなくて』
「うわぁ、うわ〜〜〜っ!」
三原くんのことを今頃になって思い出し、お風呂で叫んでしまうわたし。
バスタブから勢いよく立ち上がったからか、お湯が激しく波打つ。
一堂くんのあの言葉は、本当かどうか分からないけれど。三原くんのあれは、100パーセント本気だった。
「み、三原くんがわたしのことを?!」
「おーい、依茉。大丈夫かー?」
お風呂場のドアの向こうに人影が見え、そこからお兄ちゃんの声がする。
「依茉の叫ぶような声が何度か聞こえたから、気になって。何かあったのか?!」
「だっ、大丈夫だよ! ちょっと、虫がいて驚いただけだからっ!」
「虫!? 依茉、虫苦手だったよな!? 今、兄ちゃんが退治してやるから……」
お兄ちゃんがドアノブに手をかけ、こちらに入ってこようとする。