イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない


 翌朝。


「おはよう、西森さん」


 登校したわたしが教室の自分の席に着くと、真っ先に三原くんが声をかけてくれた。


「おっ、おはよう。三原くん」

「あれ、西森さん。今日、髪ひとつに結んでるんだね」

「あっ、うん。そうなの」


 今日は少し暑いこともあり、わたしはいつもは下ろしたままのロングヘアをポニーテールにしてみた。


 まさか、三原くんが髪型に気づいて褒めてくれるなんて。


「いつも可愛いなって思ってたけど。今日の結んでるのも、すごく可愛い」

「あ、ありがとう……」


『可愛い』って。三原くんがそんなことをストレートに言うなんて、珍しい。


 なんだか一堂くんみたい。


 もし、一堂くんも今日のわたしの髪を見たら、三原くんみたいに『可愛い』って言ってくれたりするのかな? って、何を考えてるのわたし。


 三原くんの『可愛い』だって、きっとお世辞に決まってるのに。

 それでも誰かに『可愛い』って言ってもらえると、やっぱり嬉しいって思ってしまう。


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