イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない


 昼休み。


 一堂くんから、返事が来ないな。


 スマホの画面を見て、わたしはため息をつく。


 午前中の休み時間に一堂くんに【風邪、大丈夫?】とのメッセージを送ったのだけど。お昼になっても、既読すらつかなくて。


 もしかしたら、しんどくて寝込んでるのかもしれないけど。


 スマホを見る元気もないくらい体調が悪いのかなと、逆に心配になってしまう。


「依茉ちゃん、ご飯食べないの?」

「あっ、うん。食べるよ」


 杏奈に声をかけられたわたしは、ようやくお弁当の蓋を開けて食べ始める。


 最近学校では、毎日のように一堂くんと一緒にお昼を食べていたから。


 今日は久しぶりの友達とのお昼ご飯で、嬉しいはずなのに。


 いつも隣にいた人が今日はいなくて。違和感があるというか。なんだろう、この感じは。


「依茉、もしかして一堂先輩のことが気になるの?」

「え?」

「さっきから全然、ご飯が進んでないから」


 真織に指摘されて、わたしは慌ててお弁当のミートボールを口にする。


「べ、別に一堂くんのことなんて気になってないよ」

「そういうところ、素直じゃないなぁ依茉は。ねぇ、杏奈」

「ほんと。依茉ちゃん、今日はせっかく私とも一緒のポニーテールなのにね。それを先輩に見てもらえなくて寂しいって、顔に書いてあるよ?」

「え!?」


 顔に書いてある!?


 杏奈に言われて、わたしは自分の顔を手でぺたぺたと触る。


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