イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない
そんなわたしを見て、杏奈と真織がクスクスと笑う。
「でも……二人の言うとおりなのかもしれない」
わたし、今朝も一堂くんのことを無意識に考えてしまっていたし。
メッセージだって既読すらつかなくて、大丈夫なのかと気になっていた。
「わたし、本当は朝からずっと一堂くんのことが気になってた」
「……そっか。だったら依茉、一堂先輩のお見舞いに行ってあげたら?」
わたしは、弾かれたように真織の顔を見る。
「お、お見舞いって。一堂くんがしんどいときに、わたしなんかが家に行ったらきっと迷惑だよ」
「そうかな? 風邪でしんどいときは、愛しの彼女の顔を見たくならない?」
愛しの彼女って。もう、真織ったら……!
一堂くんとは、そういうのじゃないのに。
「それに、わたしが様子を見に行かなくても、一堂くんにはご家族や寺内さんたちもいるだろうから……」
「いや。慧先輩は今、一人暮らしだよ?」
え?
背後から聞き慣れない声がしたので目を丸くして振り向くと、クラスメイトの有働くんが立っていた。