イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない


 有働くんは黒髪マッシュヘアの、このクラスで一堂くんと唯一仲が良い男子。

 一堂くんとは、花城学園中等部の頃のバスケ部の先輩と後輩らしい。


「うそ。一堂くんって、一人暮らしなの? なんで?」


 御曹司だっていうから、てっきり実家暮らしだとばかり……。


「まあ、慧先輩にも色々と事情があるらしくて」

「そうなんだ」


 事情って、どんな事情なんだろう。

 そういえば一堂くんの家の話って、本人からは全然聞いたことがなかったな。


 だけど、一人暮らしって聞くと尚更大丈夫なのかと心配になってきた。


「だから、西森さん。良かったら、慧先輩の様子を見に行ってくれない?」


 そう言って、有働くんがわたしにプリントを数枚渡してくる。


「これ、さっき担任から慧先輩の家に持って行くように頼まれたんだけど。俺の代わりに、西森さんが届けてよ」

「えっ、わたしが!?」


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