イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない


 あーんしてって……。


「こ、子どもじゃないんだから、自分で食べられるでしょ?」

「食べれないよ。だって俺、病人だし。手もだるいし」


 一堂くんがベッドから上半身を起こし、わたしに顔を近づけ口を開ける。


「ねぇ。依茉、ダメ……?」


 一堂くんは首を傾け、ねだるように上目遣いでわたしを見る。


 ……う。


 ただでさえ、風邪でいつもより弱々しいのに。そんな子犬のようなきゅるんとした目で見つめられたら、断れないよ。


「もう、しょうがないなぁ……」


 立っていたわたしは、一堂くんのベッドに腰をおろす。


「プリンとゼリー、どっちにする?」

「プリン!」


 そこは、即答なんだ。


 わたしは蓋を開けると、プリンをスプーンでひとくち掬う。


「はい、一堂くん。あーん」

「あー……」


 ドキドキしながらわたしが差し出したスプーンを、一堂くんがパクっと口に含む。


「どう? 美味しい?」

「うん。美味しい」


 一堂くんのきれいな唇が、弧を描く。


「ほんと? 良かったぁ」

「今まで食べたプリンの中で、これが一番美味しいよ。依茉が食べさせてくれてるからかな」


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