イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない


「……っ」


 そんなことを言われると、やばいんだけど。


「ねぇ。それ、もっとちょうだい?」

「うん。いいよ」


 それからもわたしは、一堂くんに何度か食べさせてあげて、一堂くんはプリンを完食した。


「一堂くん、ちゃんと薬も飲んでね?」

「ああ」


 一堂くんが風邪薬を飲んだのを見届けると、わたしは帰る準備をする。


 一堂くんの部屋の窓の外を見ると、空は燃えるようなオレンジ色に染まっている。


「それじゃあ一堂くん。わたし、そろそろ帰るね」


 そう言ってわたしが、腰掛けていたベッドから立ち上がろうとしたとき。


「待って、依茉」


 一堂くんに、手首を後ろから掴まれてしまった。


「ねぇ、まだ帰んないでよ……」

「きゃっ」


 病人とは思えないほどの強い力で後ろに引っ張られたわたしは、ベッドに倒れ込む。


「俺、もっと依茉と一緒にいたい」


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