イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない


 そして、あっという間に土曜日の朝。この日は、雲ひとつない快晴。


 約束の時間の10分前。わたしは、待ち合わせ場所である駅前にいた。


 まさか、あの一堂くんと出かけることになるなんて。


 お兄ちゃん以外の同年代の男の子と、学校以外でどこかに出かけることが初めてのわたしは、緊張していた。


 一堂くんと出かけることになったと話したら、杏奈と真織はなぜかとても喜んで。


 昨日の帰り際には『先輩との初デート頑張って!』と、二人にものすごく応援された。


「この格好、変じゃないかな……」


 コンパクトミラーを片手に、わたしは身だしなみをチェックする。


『デートといえば、やっぱりワンピースでしょ』と真織たちに言われたので、今日のわたしは膝丈の春色ワンピースを着用。


 そして軽くメイクもし、胸のあたりまである髪はふんわりと巻いてポニーテールにした。


 一堂くんは、まだかな……?


 そう思いながら待つこと数分。


「お待たせ、依茉」


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