イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない


「んっ。一堂くんこれ、めちゃめちゃ美味しい」

「でしょ?」


 卵がとろとろの半熟オムライスのあまりの美味しさに、わたしはスプーンを持つ手が止まらない。


「家ではなかなか、この卵のとろとろ感が出せないんだよね。何かコツとかあるのかな?」

「俺が今度、店長に聞いておこうか?」

「企業秘密って、怒られちゃったらどうするの?」

「そのときは……大好きな彼女のために作りたいんで、特別に教えて下さいって頼むかな」


 “ 大好きな彼女 ”


 その言葉に、胸がくすぐったくなる。


「でも、一堂くんって料理できるの?」

「料理は苦手だけど、依茉のためなら頑張ってするよ?」


 一堂くんったら、ほんと女子が喜ぶようなことを言うのが上手い。


「ていうか一堂くん……」


 一堂くんはパスタを口にいっぱい入れて、ハムスターみたいになっている。


「一堂くん、ハムスターみたいで可愛い」

「……可愛いのは、依茉でしょ」


 一堂くんの手が、こちらへと伸びてくる。


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