イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない


「ごめんね、一堂くん。ごちそうになっちゃって」


 カフェを出る前にわたしがお手洗いに行って戻ると、一堂くんがすでにお会計を済ませてくれていた。


「ううん。そもそも今日は、看病をしてもらったときのお礼だったから。気にしないで」

「ありがとう」


 カフェを出たあと、わたしたちは近くのショッピングモールへとやって来た。


「そうだ。カップルっぽく、今日の記念にプリクラでも撮る?」


 ゲームセンターの前を通りかかったとき、一堂くんがそんな提案をした。


 プリクラか……。


 高校の入学式の日に一堂くんと仮のカップルになって、もうすぐ1ヶ月になる。


 もしかしたら、一堂くんとこうして二人で出かけるのも最初で最後かもしれない。


 「いいね、撮ろうか」


 わたしは、彼とプリクラを撮ることにした。


 二人でプリクラの機械のカーテンの中に入りお金を入れてフレームを選ぶと、写真を撮るまでのカウントダウンが始まった。


「依茉、そのままカメラのほうを見てて」

「え? う、うん」


 一堂くんに言われるがまま、わたしが真っ直ぐカメラを見つめていると。


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