イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない


 ──カシャッ!


 カメラのシャッター音がするのと同時に、一堂くんの唇がわたしのほっぺに軽く触れた。


「なっ!」

「誰も見てないんだし、キスしても良いでしょ?」

「そっ、それはそうだけど……」


 こんな不意打ちのキス、心臓に悪い……!


「ほら、早くしないと次の撮影が始まるよ。依茉、笑って!」


 それからわたしは、一堂くんと手を合わせてハートを作ったり。彼がわたしを後ろからハグしたりと、一堂くんに言われるままに色んなポーズをとった。


 * * *


「うん。ちゃんと盛れてるし、良い写真が撮れたね」


 撮った写真の落書きと印刷を終え、出来上がったプリクラを見て一堂くんが満足そうに笑う。


 そりゃあそうだよ。全部、一堂くんの言うとおりにポーズを決めて撮ったんだから。


「俺、このプリクラの画像、スマホのロック画面にするよ」


 そう言うと、さっそく一堂くんがプリクラ画像を設定する。


「これでスマホを開く度に、いつも依茉の可愛い顔が見られるね」

「やめてよ、一堂くん。恥ずかしいから」

「ほんと、照れ屋だなぁ。依茉は」


 すると、一堂くんがわたしのスマホを奪うように取ってしまう。


< 146 / 295 >

この作品をシェア

pagetop