イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない
「ねぇ。何か気になる景品とかある?」
ゲーセンには多くのUFOキャッチャーが並び、一堂くんに聞かれたわたしは辺りを見渡す。
「あっ。あれ、可愛い」
目に入ったのは、小さくて可愛い猫のマスコットキーホルダー。
「あれか。ちょっと待ってて」
一堂くんは硬貨を入れると、UFOキャッチャーを始めた。
あ、惜しい。もう少しで取れそうだったのに。
「くそ。もう1回」
小さく呟く声が耳に入り、一堂くんのほうを見ると、少し悔し気な表情を浮かべていた。
それからもう一度、一堂くんは硬貨を入れてUFOキャッチャーに取り組み……。
「やった。見て、依茉。2個も取れた」
はしゃぐ一堂くんの手のひらには、猫のマスコットキーホルダーが2個のっている。
「すごい! たったの2回で取れるなんて。しかも2個取り!」
わたしなんて、何回やってもなかなか取れないのに。
「もしかして、一堂くんってUFOキャッチャーが得意なの?」
「いや。普段、ゲーセンに来ることはほとんどないから。ネコ、もしかしたら一つで良かったかもしれないけど、柄が違うし良いかな? はい、どうぞ」
一堂くんが、わたしにキーホルダーを渡してくれる。