イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない
「だっ、大丈夫だよ」
約束の1ヶ月の期限までは、一堂くんとの今の関係を続けたいと思ったわたしは、咄嗟に嘘をついてしまった。
「本当に?」
疑いの眼差しでこちらを見るお兄ちゃん。
「う、うん。それに、出かけたといっても今日が初めてだよ? わたしが風邪を引いた一堂くんを看病してあげたから、そのお礼にってランチをご馳走してもらっただけで……」
「看病って、まさか依茉……慧の家に行ったのか!?」
「行ったけど……」
───バン!
お兄ちゃんがいきなりテーブルを叩き、食器がわずかに跳ねる。
「慧って確か、一人暮らしだろ!? 何か変なことされなかったか!? あいつ、女癖悪いところがあるから……信用できないな」
女癖が悪いっていうのは、確かにその通りかもしれないけど。一堂くんのこと信用できないって、さすがにそれは……。
お兄ちゃんの言葉に、わたしはカチンとくる。
「お兄ちゃん、友達の一堂くんのことをそんなふうに言うの良くないよ。そもそも一堂くんは、わたしの男避けのために付き合ってくれてるんだから」
「依茉……」
「普通はそんな人、なかなかいないよ。一堂くん、良い人じゃない。それは、お兄ちゃんが一番よく知ってるでしょう?」