イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない
「一堂くん?」
「依茉がまた転んで怪我をするといけないから、手繋ご?」
「ありがとう」
そっと彼の手を取ると、大きくて温かい感触がわたしの手をきゅうっと握り返してくる。
一堂くんと手を繋いで、しばらく山道を登っていると。
「ねぇ、依茉。これ……」
わたしの一歩前を歩いていた一堂くんが地面から何かを拾い、わたしに見せてくる。
「あっ……!」
それは、懸命に探していてもなかなか見つからなかったキーホルダーの白ネコだった。
「良かった、見つかった……!」
幸いネコは土で少し汚れていただけで、ほぼ一堂くんに貰ったときのままの状態だった。
「もう落としたりしないように、今まで以上に大切にするね」
「見つかって良かったな、依茉」
一堂くんはクスッと笑うと、自分のスマホをズボンのポケットから取り出す。
そして、彼のキーホルダーの黒ネコを、わたしの白ネコにコツンとくっつけた。
「ネコたちの、再会のキス」
「ふふ」
一堂くんったら、可愛いこと言うなぁ。
「なぁ、依茉。俺たちは?」
一堂くんが、自分の唇を人差し指でさす。
「俺も、依茉とキスしたいんだけど」