イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない


「え。ちょっと一堂くん、キスって何を言ってるの? そんなのダメに決まってるでしょ」

「そうだよな……」

「当たり前だよ。だって、いくら周りに誰もいないと言っても今は学校の遠足中だよ?」

「依茉のそういうところ、ほんと真面目だよな」


 しょぼんと、肩を落とす一堂くん。


 キスがダメって言ったくらいで、そんなに落ち込むもの? 


「ああ。1回で良いから、依茉からキスして欲しかったな」


 ……ついダメって言ったけど。一堂くんは心配して、わたしを探しにここまで来てくれたんだよね。


「ねぇ、一堂くん。少し屈んで?」

「……ん?」


 わたしが言うと一堂くんはすぐに屈んでくれ、わたしと目線の高さが同じになる。


 一堂くん、本当にきれいな目をしているな。


「あの、一堂くん。今日は……本当にありがとうね」


 ──チュッ。


 わたしは一堂くんの頬に、そっと触れるだけのキスをした。


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