イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない


 それから、高校1年をもう一度やり直すことになった俺は、学校で依茉とまさかの同じクラスになって。


 怜央に、“ 依茉の男避けのために1ヶ月間仮の恋人になって欲しい ” と頼まれてから、早いものであと1週間で約束の1ヶ月になる。


 依茉と今の関係が始まったときには、淡いピンクの花を咲かせていたこの公園の大きな桜の木も、今では鮮やかな緑色の葉をつけている。


 久しぶりにこの公園に来たら、つい依茉と再会したあの日のことを思い出してしまった。


 今となっては、懐かしい。


 それにしても、この1ヶ月は本当に早かったな……。


 色々なことがあったけど、依茉といると楽しくて。ほんと夢みたいな毎日だった。


 親に初恋の彼女と強制的に別れさせられてからは、もう誰のことも好きにならないって決めていたのに。


 俺は、この1ヶ月で依茉のことを本気で好きになってしまった。


 親にバレたら、また何を言われるかも分からないが、依茉のことだけは諦めたくない。


 俺は、できればこれからも依茉との関係をまだ続けたい。あと1週間で終わらせたくない。


 だから……。


 スマホに目をやると、時刻は17時過ぎ。


 約束の時間を5分オーバーしたけど、あいつは来てくれるだろうか。


「ごめん、慧。遅くなった」


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