イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない
「……この間も、俺が慧のことをつい悪く言ってしまったら、依茉に怒られちゃったしな」
怜央が何かを思い出したのか、口角を上げる。
「まあ、どこの馬の骨かも分からない男よりも……慧だったら安心だな」
それって……。
「お前になら……依茉を任せてもいいよ」
「怜央、ほんとか!?」
俺は思わず、座っていたベンチから立ち上がってしまう。
「ただし……」
怜央の目が、再び鋭くなる。
「もし依茉のことを泣かせたりしたら……いくら慧でも絶対に許さないから」
「うん。約束するよ」
「それと、分かってるとは思うけど……女関係だけでなく、学校のこともちゃんとしろよ? もう二度と、留年とかすんな」
「もちろんだ」
俺は、依茉と一緒に高校を卒業したいし。
何より、依茉にとって恥ずかしくない男でいたいから。
これからは、ちゃんとするつもり。
「まあ、俺は慧のこと応援してるから。頑張れよ」
優しい表情の怜央が、拳を俺へと突き出してくる。
「ああ。ありがとうな、怜央」
依茉の兄で、俺の一番の親友でもある怜央に理解してもらえて、こうして応援の言葉までもらったんだ。
これからは、何があっても絶対に頑張るという気持ちを込めて、俺は怜央とグータッチをした。