イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない
英語の授業後は、お昼休み。
一堂くんといつものように一緒に昼食を摂ろうと声をかけると、『用があるから、先に中庭に行ってて』と彼に言われたわたし。
「いけない。お茶持ってくるの忘れてた」
中庭のベンチに腰を下ろしたわたしは、水筒を教室の机の上に置きっぱなしにしていたことを思い出した。
「お茶、取ってこようかな」
わたしはベンチから立ち上がり、校舎のほうへと向かって歩き出す。
「一堂くんのことが好きです!」
すると、どこからかそんな声が聞こえてきて、わたしは思わず足を止めた。
えっ、今……『一堂くん』って言った?
思わぬ名前が聞こえ、校舎の角の手前でわたしは動けなくなってしまう。
一堂くんの名前を耳にし、どうしても気になったわたしは壁越しにそっと覗くと、そこには一堂くんと2年生の女の先輩が向かい合って立っていた。