イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない


 用があるって、一堂くん……女の子に呼び出されてたんだ。


 一堂くんが誰かに告白されている現場に遭遇するのは初めてで、胸がやけにドキドキする。


 しかも告白しているあの先輩、すごく綺麗。


 確か、ファッション雑誌のモデルをやっているって聞いたことがある。


「……良かったら、私と付き合ってください」


 モデルの先輩の声は、少し震えている。


 そりゃあ、そうだよね。好きな人に告白するのってすごく緊張するし、勇気がいることだもん。


 わたしも……そうだったから。


 わたしは、小林くんに振られてしまったけど。


 来る者拒まずの一堂くんだから、今告白したモデルの先輩のことを振ることはない。


 きっと、OKするのだろう。


 胸の底のほうにモヤモヤとした感情が広がるのを感じながら、わたしがその場を離れようとしたとき……。


「悪いけど、キミとは付き合えない」


 ……え?


 一堂くんの口から予想外の言葉が飛び出し、わたしは歩きかけていた足を思わず止めた。


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