イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない


 わたしは背を壁にもたれかけたまま、ズルズルと力なく地面に座り込む。


 そしてついに、堪えていた涙が堰を切ったように流れ出して止まらなくなった。


「……っうう」


 地面が、ぽたぽたと涙で濡れていく。


 一堂くんにたくさん優しくしてもらって、もしかして……? と思ったときも何度かあったけど。


 わたしは……、一堂くんの親友の妹だから。


 お兄ちゃんのよしみで毎日一緒にお昼ご飯を食べたりと、今まで他の彼女よりも良くしてもらっていただけだ。


 そう思うと、余計に悲しくなって。


 息が上手くできなくなるくらいに苦しい。


 「……っう〜〜っ」


 さっきからずっと、涙がとめどなく溢れて一向に止まらない。


 どうしてわたし……こんなに泣くほどショックなんだろう。


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