イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない


「ねぇ、一堂くん。他に好きな子がいるんでしょう? だったら……もうわたしに優しくしないで」

「え? 好きな子って……もしかして依茉、俺がさっき女子を振るところ見てたの?」


 わたしは、素直にこくりと頷く。


「そっか。依茉にあの場面を見られてたのか。だけど、それは誤解だよ」


 誤解?


「……ごめん、依茉。ちょっと立って、こっちに来てくれる?」


 地面に座り込んでいたわたしを強い力で立ち上がらせると、一堂くんがわたしの手を握って歩き出す。


「ちょっと、一堂くん!?」

「依茉に大事な話があるんだ」


 彼に少し強引に手を引かれてやって来たのは、中庭の噴水の前。


 噴水を取り囲むように設置されている花壇には、今日も色とりどりの花が咲いている。


「あのさ、依茉。俺がさっき言ってた好きな子っていうのは……依茉のことだよ」


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