イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない
「……え?」
わ、わたし!?
「う、うそでしょ!?」
「嘘じゃないよ。依茉……覚えてないかな? 俺が中学2年の頃、ここで女子に告白されたんだけど。そのとき花壇の水やりをしていた依茉に、誤ってホースの水をかけられてさ」
そういえば、そんなこともあった気がする。
花城学園は中高一貫校だから、中等部と高等部で校舎は別々だけど。同じ敷地内にあるこの中庭は、共有の憩いの場となっていて。
中学生の頃、花が好きだったわたしは昼休みに毎日ここで花壇の水やりをしていた。
あの日もいつものようにここで花壇の水やりをしていたら、偶然告白現場に遭遇して。
そういう場面に遭遇するのは初めてで、当時はわたしも小林くんに片想い中だったから。
自分のことのようにドキドキしながら人様の告白につい見入っていたら……ホースを持つ手が滑っちゃったんだよね。
「その翌日に、依茉がお詫びにって手作りのクッキーをくれて。律儀でいい子だなって思って。それからずっと、俺は依茉のことが気になっていた。だけど、実家のこととか色々あったから……」