イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない
それから一堂くんは、実家のことや女の子を来る者拒まずで受け入れるようになったワケなど、これまでのことを全て包み隠さずわたしに話してくれた。
一堂くんに、そんなことがあったなんて……。
わたしは、口元を手でおさえる。
中学生という多感な時期に、初めて付き合った女の子と強制的に別れさせられて。そのうえ、大好きだったバスケまで辞めさせられて。
そんなの辛すぎるよ。
そのときの一堂くんのことを思うと、胸がズキズキと痛む。
女の子にだらしないのも、高校を留年したことももちろん良くはないけれど……。
いくら家や会社のためだとしても……あれもダメこれもダメと、自分のすること全てを親に否定されたら……一堂くんがこうなってしまったのも無理はない。
もしわたしが彼の立場だったなら、きっと自暴自棄になっていたに違いない。
「辛かったよね、一堂くん……ぐすっ」
「なんで、依茉が泣くんだよ」
「だって……」
一堂くんがわたしの目元の涙を、指で優しく拭ってくれる。
「こんな俺のために泣いてくれるなんて。依茉は、本当に優しい子だな。ますます好きになりそうだよ」