イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない


 えっ、有働くんが!?


「……却下」


 有働くんに、冷たく言い放つ一堂くん。


「そんなこと言わないでくださいよー。慧先輩って、英語得意でしたよね!? 俺、この間の英語の小テストが赤点で……やばいんっすよ」


 有働くんによると、世間でも有名な進学校である花城学園は勉学にとても厳しくて。


 定期テストで1教科でも赤点をとった場合、次の定期テストまで部活動には参加できなくなるらしい。


 その代わりに、放課後は毎日赤点をとった教科の補習が待っているのだという。


「俺、バスケができなくなるのだけは嫌なんで……慧先輩、どうかお願いします」


 有働くんが、一堂くんに深々と頭を下げる。


「……嫌だね。有働、お前空気読めよ。そんなこと言うなんて、俺たちのデートを邪魔する気?」


 一堂くんが、有働くんをギロリと睨みつける。


「い、いえ。そんなつもりは……俺はただ、純粋に英語を教えて欲しいだけで……」


 有働くんの顔が、サッと青くなる。


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