イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない


【近くまで来たから、今から慧さんの家にお邪魔しても良いかしら?】


 それは、母親からのメッセージだった。


「母さんが来るのか……」


 そう思うと、憂鬱だ。


 少しでも自立したいと思って始めた一人暮らしだけど。


 実は、俺に色々と強要してくる両親と毎日顔を合わせるのが嫌という気持ちも少なからずあった。


 だが、ここで一人暮らしをしているとはいえ、この高級タワーマンションは一堂グループが経営する不動産会社のものだから。


 せめて生活費くらいはと、自分のバイト代でまかなっているけど。


 それ以外は、まだまだ親の世話になっている身分だ。


 だから、たとえ会いたくないと思っていても嫌とは言えない。


 ──ピンポーン。


「慧さん、久しぶり」


 それから少しして、母が家にやって来た。


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